東海大学病院
病理診断について
病理診断とは、人体から得られた臓器、組織、細胞、遺伝子を用いて光学的に観察できる標本を作製し、それを顕微鏡下において観察する事により得られた病変の種類、程度から治療方針等を決定するための医療行為です。
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教授ご挨拶

東海大学医学部病理診断学のホームページを訪ねていただき、ありがとうございます。

病理診断学は医学・医療の根幹をなしています。病理診断医の診断があるからこそ外科医は思う存分にメスを振るい、内科医は安心して治療できると自負しています。直接患者さんを診察することがなくても患者さんの役に立てることが我々の喜びです。病理診断学に所属する病理診断医は付属病院病理診断センター(病理診断科)の医師として日夜病理診断に取り組んでいます。

東海大学付属病院は忙しい病院です。外来は一日およそ2,800人、入院はいつも満床に近くベッド回転率はしばしば100%をこえます。生検、手術件数の増加も著しく、病理診断センターの年間病理組織診断件数は19,853件、細胞診断 17,548件、手術時迅速診断 1,168件になります(2012年実績)。

全ての標本の肉眼診断と切り出し、顕微鏡診断を全員で分担しています。さらに臨床各科とのカンファランスで症例検討を行っています。血液病理、婦人科病理、乳腺病理、内分泌病理、肺病理、肝胆膵病理、免疫病理、小児病理、消化管病理など、各個人が専門分野を持つことが私たちの特徴であり、病理医一人一人が主役として活躍しています。最善の診断のために毎日真剣に病理検体、プレパラートに向かっています。

病理解剖も病理医の大事な仕事です。薬石効なくお亡くなりになった患者さんを解剖させていただき、お一人お一人の患者さんの病の歴史を病理診断医の眼から明らかにします。病理学を志す者の洞察力を養う仕事であり、病理解剖カンファランスも毎週行っています。

しかし毎日顕微鏡をみて病理診断するだけで満足している訳ではありません。医学・医療は日進月歩であり絶えず新しい情報を取得する必要があります。自らの専門領域における新たな知見を日本ばかりでなく世界に向けて発信する必要があります。そのために学会や研究会に参加して最新の知識を吸収し、また自分の研究データを発表しています。時には実験室に籠ってマイクロピペットを握ることもあります。各自が自らの専門分野で研究チームを作って課題に取り組んでおり、教室全体でそれぞれのチームをバックアップしています。

病理学を通した医学教育も重要です。医学部3−4年生の病理学講義と実習、5−6年生のクリクラ、前期研修医の病理診断科ローテション、それぞれのレベルで病理学、病理診断を伝えています。教えることは自分の持つ知識と技術の確認になり、自身の教育になります。

「診断は厳しく、研究、教育は愉しく」をモットーにしますが、つらい時もあります。診断に躊躇することもあります。実験がうまくいかないこともあります。しかしそれを乗り越えて難しい診断をなしえたとき、新しいエビデンスに確証をもったときの喜びを我々は知っています。

どうぞほかのページをめくってみてください。若くて活きの良い病理医が多いので教室は活気に満ちています。私自身が今後のホームページ更新を楽しみにしています(私の担当もあります)。

中村直哉